昨今、国会等では時間外労働の規制など、働き方改革に対する提言が多々行われています。
毎月最終金曜日の終業時間を15時にして週末の消費を喚起しようという、現場の労働環境を知っている人であれば月末の金曜にそんなことできるはずないと思うような瞑想した提言も見られます。
現状の労働環境の中でも様々な働き方、制度が導入されています。特にベンチャー企業やIT系の企業では今までにない働き方がどんどん発生しており、法制度が時代遅れになっている感は否めません。
この働き方を管理するということは企業にとって永遠の課題であり悩みであります。一朝一夕に解決策は見つかりませんが各種制度の問題点等をまずは洗い出していきたいと思います。
1.在宅ワーカー
過去からあったものですが、昨今IT環境の整備に伴い、今まで以上に在宅勤務を導入する会社が増えています。IT系の企業であればチャットでいつでも連絡がとれ、会議はSkypeなどを利用、データの共有もクラウドで解決しますので、どこで働いても問題ないという環境ができています。
この働き方で問題となるのは
①労働時間の把握
②機密情報の管理
③従業員とのコミュニケーションの取り方
在宅で勤務している場合、どの時間を働いている時間とするか微妙です。通常は報告書やPCの起動時間をモニタリングしますが、昼寝などをしていても分からない可能性もあります。また、機密情報の管理は自宅で重要書類を印刷して紛失してしまうなどの問題もあります。これもルールを決め、PC上のセキュリティが届く範囲でしか作業をしないという体制作りが必要です。従業員とのコミュニケーションをどのようにとるかもポイントです。チャット等で連絡はとれますが、やはり人と人のコミュニケーションをどうとるかは企業ん永遠の課題です。必ず出社しなければならない日と決めて、週1回はランチにみんなで行くなど工夫も必要です。
問題点は多くありますが、柔軟な働き方、育児等との両立、通勤時間等に捉われない働き方が実現できるというメリットがあります。法的には在宅での裁量労働制や深夜勤務等の制限の解除など、勤務時間の管理を大幅に緩和しないと最大限の効果は出ないと思います。
2.裁量労働
IT系の企業やコンサルティング業務などを行っている会社で良く導入されているのがこの裁量労働制です。
これは特定の専門業務について、専門性が高いため、労働時間を個人の裁量に任せるという働き方です。メリットとしては残業時間などを考慮せず柔軟な働き方ができるというものですが、裁量に任せすぎて必要な時間に会社にいないなど問題が出ることもあります。また、制度の矛盾点でもありますが、残業時間は裁量に任せますが、深夜勤務や休日出勤があった場合は手当を支給しなければならないなどの問題点もあります。労働時間の長さではなく、成果で報酬を決めるというのがこの制度の趣旨ではあるのですが、そのような運用ができていない場合、ただ単なる残業代の抑制ということで終わってしまう可能性もあります。
3.フレックス制
1日のうち、必ず出社しなければならないコアタイムを決め、前後の出社、退社時間にフレキシビリティをもたらすという制度です。月の総労働時間を日ごとではなく月単位等で変動させて、柔軟に働ける制度です。育児中の職員は朝方の勤務にするなどのフレキシビリティが担保できます。この制度は導入後もてはやされましたが、導入した結果ほとんどの職員が夜型になってしまい効率が下がったという結果が多く出ています。制度としてはうまく運用できれば良い形の働き方が実現できる反面、1ヵ月単位で総労働時間が超えなかった場合どうするかなどの運用管理も難しいところがあります。
このように現状の制度と運用にはそれぞれ良い点、悪い点があります。会社の働き方によってもどの制度が適するかというのは判断が難しいところです。労働者の意見や専門家の知識を活用して、より良い「働き方改革」を実施していっていただければと思います。
当事務所では、このような基本的な労務管理から丁寧にご説明させていただきますので、ご希望の会社様は是非お問合せください。
日本ブログ村の士業ブログランキングにも参加いたしました。お読みいただいた方は こちらをクリックいただければ幸いです。
↓